2011-12-29

2011年今年の3冊

2011年もまもなく終わりますが、今年読んだ本のなかでのベスト3を挙げてみました。今年も読書の7割は通勤電車の中で、文庫・新書・ソフトカバーを読む機会が多かったですが、MacBook Airのおかげで手荷物の負担が劇的に減ったので、ちょこちょこ分厚い本も持ち歩いて読んだりしてました。英語のものは論文を中心にあれこれ読みましたが、研究の次なる理論的方向性も少しずつ見えてきて、来年あたりから外でも報告してみようかなと思っています。というわけで、今年の3冊は・・・

1.小坂井敏晶『人が人を裁くということ』岩波新書、2011年.
裁判員制度および冤罪が発生する社会心理的メカニズムの検討から、集団現象・社会現象としての「裁判」を根源的に考える一冊です。震災もあってかあまり話題にならなかったように思いますが、もっとメディアで取り上げられるべきだと思います。私たちが生きる社会の底に何があるのかを根っこから考えさせる本が、このような新書という形で出ているということがすばらしいです(そういえば、今年は同著者の名著『民族という虚構』もちくま学芸文庫から再出版されました。これも必読です!)。今年はオウム裁判に関して、森達也さんの『A3』(集英社インターナショナル、2010年)も読みましたが、この本を読むと、あの裁判の一件もまったく違った姿に見えてきます。

2,角田光代『八日目の蝉』中公文庫、2011年.
ベタですがはまりました。単行本出版時のブームには乗り遅れ、文庫本出版時に購入、一晩で読み切ってしまいました。さらに映画も映画館で観たうえに、夏休みには小豆島にまで行きました。自分も娘がいるせいか、ほとんど冷静には読めなかったように思いますが・・。また、映画と小説は異なった味わいがあって2度楽しめるのもよいです。映画のほうが、何かと「わかりやすく」「ドラマティック」になってますが、小説版の淡々とした描写も味があります。

3.木田元『反哲学入門』新潮文庫、2010年.
古代ギリシャからハイデガーまでの哲学史を、「哲学は欧米人だけの思考法である」という視点でコンパクトに切り取って描いてます。なぜヨーロッパ西洋で「哲学」という考え方が生まれ、定着したのか。そして、ニーチェやハイデガーが「断ち切ろうとしたもの」は何だったのか。最近は『ニーチェの言葉』のような自己啓発系が人気のようですが、あんなの読むくらいなら、こっちをちゃんと読みなさい、と言いたい。

結局、文庫・新書が大半を占めてしまいました。今年は、原発や震災関連もあってか、新書業界での「粗製濫造」も目立ちましたが、岩波や中公などの老舗新書の充実ぶりが印象的でした。個人的には、辻村みよ子『ポジティヴ・アクション』(岩波新書)、渡辺靖『文化と外交』(中公新書)、橋爪大三郎・大澤真幸『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)、白戸圭一『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)などが、それぞれの出版社のカラーも反映して印象的でした。

2011-11-28

久しぶりのいただいた本

またまた本をさまざまな方々から送っていただきました。

ピーター・メドフ、ホリー・スクラー『ダドリー通り:破壊された街の再生の物語』東洋書店、2011年
→あのボストンの「ダドリー通り」の話が日本語でも読める、というのがすばらしいです。

小川(西秋)葉子ほか編『<グローバル化>の社会学』恒星社厚生閣、2011年
→メディア・コミュニケーション研究からの<グローバル化>論。メディア、情報、開発などのトピックはもちろん、「生命」やら「生物学」なども扱っているのが面白いです。

蘭信三編『帝国崩壊とひとの再移動』勉誠出版、2011年
→精力的に研究成果を発表されてます。見習わなければ。

それぞれ読ませていただきます。ありがとうございました!

2011-11-19

MobilemeからiCloudへ

これもずいぶん遅れた話題ですが、Appleが新しいクラウドサービスiCloudを開始するにあたって、これまでのMobilemeが終了ということになりました。僕は「.Mac」時代から自分のHPをiWebで作って公開してきたのですが、このHPのサービスも来年6月には終了とのこと。このあと、自分のページをどうするかはまだ未定です。

もともと、自分の研究の告知と学生向けの講義レジュメの公開のために開設したHPでしたが、最近はどこの大学も、学内のウェブサービスやコースツールでレジュメ等の配付は可能なので、講義用ページとしての公開はそっちに移行すれば問題はなさそう。自分の業績一覧も、大学の研究者データベースで可能といえば可能(ただ、書誌情報としては中途半端ですが・・)。あと、個人的な日記やゼミ等での情報交換はFacebookでやればいい・・ということになれば、もはや個人のHPなんていらないのかもしれません。とはいえ、偶然なにかで僕の研究を見た方が、HPを見てどういうヤツか確認をする、という年に何回あるかわからないけど、それなりに重要な役割もあるわけで、どこか別のサービスに移行するかどうか悩んでます。このブログは、Mobilemeとは別サービスなので細々と更新することになりそうです。

ちなみに、iCloudのほうは、自宅と職場のメインPCであるiMacがいまだにSnow Leopardなので移行できず。これらのOSの入れ替えは、たぶん春休みまで無理そうなので、あと半年はお預けになりそうです。

2011-07-01

Facebook

今年のはじめくらいから、facebookを始めました。近況といえるほどのものかどうかはわかりませんが、細かい日々のことなどは、そちらでも書くようになりました。


そのせいか、このブログの更新頻度もますます落ちてしまっているような。

そろそろ役割分担を考えたほうがいいのでは・・・と思います。不特定多数の方に公開しているブログと、「友達」が読むことを前提としたSNSであるfacebookでは、やはり書き方も違ってくるわけですが、基本的には、お仕事に関する情報とまとまった字数で書きたいことはブログに、私事も含めた日々の雑な報告はfacebookというふうに使い分けようかと思います。

というわけで、このブログでもたまーに情報発信してますので、こちらも引き続きよろしくお願いいたします。

2011-05-20

1回生向けテキストを書く

少し前になりますが、勤務先の学部の1回生導入科目(「基礎演習」)のテキストに1章を書かせていただきました。

奥田宏司・佐藤誠・原毅彦・文京洙編『エティック国際関係学』東信堂、2011年.

第8章「移民、エスニシティ、多文化社会」というタイトルで、現代の国際移民の基本的動向と、それと関連して、多文化社会をめぐる議論の状況を紹介したものです。いわゆる教科書を書くのははじめてだったので、国際移民だけでなく、エスニシティ、多文化主義、「多文化共生」、トランスナショナリズムと、やや詰め込み過ぎで、1回生にはちょっと難しかったかもしれません。

今年はこの「基礎演習」を担当していないので、1回生の反応を見ることもできないなあと思っていたら、先日のオフィスアワーに立て続けに質問にやってきました。私の書いた章の内容を発表するのだけれど、発表グループで話し合っても、どうしてもわからないので・・・ということでした。1組につき30分〜40分くらいかけて、できるだけ丁寧に説明したら、ある程度理解してもらえたようで安心しました。教科書というのは、「わかりやすさ」というのはもちろん大事だけど、「わからない」ことについて、参考文献を図書館で借りて読んだり、グループで話し合ったり、教員に質問したりして理解しようと努力することも、1回生の導入科目としては大事な教育的プロセスなわけで、そういう機会になったということは、教科書としての役割を果たしていたのかなあと、かなり自分勝手な解釈をすることにしました。とはいえ、たぶん、多くの学生は「わかんねー」といって放り出してしまうのかもしれませんが・・・。

2011-03-10

いただいた本

 

著者の矢口祐人さんから、『憧れのハワイ:日本人のハワイ観』(中央公論新社、2011年)をいただきました。ちょうど来年度は、日本とアメリカのあいだの文化イメージの交換をテーマにした授業をする予定だったので、さっそく使わせていただきます。

そのほか、ここ何ヶ月のあいだに、関西アメリカ史研究会に参加する方々が編集したシリーズ『アメリカ史のフロンティア』の第1巻第2巻、渡辺靖さん編の『現代アメリカ』(有斐閣アルマ、2010年)もいただきました。『現代アメリカ』は、来年のゼミで使おうかなと計画中。


2011-02-20

近況

採点も終わり、2010年度の講義関連の業務もほぼ終了しました。異動が絡んでいたとはいえ、今年度は、前期は週5で京都の端から神戸の端まで3大学で授業もあって、授業自体というよりも移動がなかなかしんどい1年でした。移動時間の活用法を考えて、携帯をiPhoneにしてみたりしたけど、あのサイズでできることも限られているわけで、結局、読書50%、睡眠30%、iPhone10%、ぼーっと10%という時間配分な感じでした。あと、育児の関係で完全に生活パターンが朝型に。冬でも朝5時前に起床。その後家族が起きてくるまでの2時間ほどは貴重な仕事時間でした。とはいえ、3大学体制は来年度まで続きます。また移動時間の有効活用法を考え直さなくては・・・。

iPhoneといえば、先週からいきなり故障。突然、話し相手の声が聞こえなくなるということで、電話をいただいた方には大変ご迷惑おかけしました。結局、アップルのサポートに電話で修理送り。昨日、新品に交換されて戻ってきました。今年は、購入したiMacも初期不良でいきなり交換。さらにiMacに至っては、現在もBluetooth不良で関連機器が使えない状態です。基本的にBluetooth使わないのと、また修理送りで使えなくなるのがイヤなので、そのまま放置していますが。今年はアップルとの相性があまりよくないのか。それともアップルの品質管理のレベルが下がってしまったのか・・・。

というわけで、授業が終わって少し時間ができたので、ここ数日は論文や本をあれこれ読んでいます。ここのところのヒットは、フランスの社会学者ミシェル・ヴィヴィオルカの本。今月中にあと1本原稿をまとめる予定ですが、よいヒントをいただきました。

2011-01-04

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年末年始は恒例の実家帰省ツアーで、私と妻の実家をハシゴしました。いろいろ本を読みたかったのですが、今週末の人種研究シンポの原稿執筆で終わってしまいました。残念。あと、自宅に戻ってからは、原稿と発表資料準備の傍ら、HDDレコーダーがいっぱいになってしまったので、整理のために録画コンテンツをDVDやらブルーレイやらにひたすらダビングしています。BSのドキュメンタリーが数十本・・・。これをちゃんと見る時間はあるのだろうか。

今は、かつてBS特集として制作された『世界から見たニッポン』のシリーズをダビング中。授業で使うことを考慮して、DVDに標準画質で等倍速で記録してます。ただ、実際に見てみると、自分が期待していた内容とちょっと違ったようです。もっと文化やら社会風俗的な内容を期待していたのですが、政治や外交が中心だった模様。あと、年末にアンコールしてた『シリーズ民主主義』(10タイトル)もまとめてみたいところですが、時間切れになりそうです。

今年の目標は、自分の研究の新しい方向性について少し落ち着いて考えること。著書を出版してから、いろいろと発表や原稿の依頼もいただき、それぞれその時点でのベストを尽くしたつもりでしたが、そろそろ新しい蓄積が必要な時期にさしかかってきたように思います。自分にとっての「次」について、ちゃんと考えて、その土台をしっかりと作る必要性をひしひしと感じています。まずは、しっかりと先行研究や研究動向を把握すること。それから、これまで収集した資料をちゃんと読み込み、新しい調査への道筋を見極めること。この2つを今年の課題としたいと思います。あと、教育についても、昨年は新しい環境で1年間をやり切ることでいっぱいいっぱいでしたが、今年は、もう少し自分なりのチャレンジも加えていきたいところです。