2009-12-14

書評『マブイの往来』

『図書新聞』(2945号、2009年12月12日)に、津田睦美さん著『マブイの往来』(人文書院、2009年)に対する私の書評が掲載されました。

写真家でもある津田さんが、ニューカレドニア島の日系人の歴史を、現地や沖縄などで重ねた聞き取り調査をベースに描いたものです。文中に挿入される津田さん撮影の写真が、単に文章を補足する視覚資料にとどまらず、それ以上の「何か」を伝えようとしているあたりが印象的でした。いままでの移民史にはないタイプの新しい試みということで、なかなか面白いなあと思った次第で、そのあたりを書評にも書かせていただきました。

ところで、この書評記事の執筆者表記が「南川文理」になっていました(ちなみにWebのほうは、12月14日現在では、まだ間違ったままでした→修正いただいたそうです)。「文理」という誤記は、この仕事を始めてからやたらと増えました。郵便物の宛名とか、学生からのメールなどでも、よく間違ったまま送られてきます。以前は、名前を「ふみさと」と読まれることはしょっちゅうだったものの、表記を間違えられるのはあまりなかったのですが、「文理」というのは、なんとなく研究者とか、大学教員の名前っぽいのでしょうか・・・。

2009-10-21

論文「社会編成としてのエスニシティ」

社会理論・動態研究所が発行する学術誌『理論と動態』第2号の特集論文として、「社会編成としてのエスニシティ:エスニック多元主義の批判的検証のために」が掲載されました。

この論文は、拙著『「日系アメリカ人」の歴史社会学』でも議論したエスニシティ概念の社会学的な射程について、あらためて考え直してまとめたものです。この論文では、エスニシティとは、ある特定の集団に備わったものとしてではなく、その集団が位置づけられた社会のあり方を表現するものとして考えるべきではないか、という提案をしています。振り返って考えてみれば、このような考え方が拙著の基本的な議論のベースにあったと思うのですが、まだ執筆段階では、うまく言語化できていなかったように思います。そこをもう一度文献を読み直し、考え直して論文化する機会を与えてくださった社会理論・動態研究所の皆様に大変感謝しています。

『理論と動態』第2号についての詳細は、こちらもご参照下さい。

2009-09-26

国際シンポ「環太平洋地域における日本人の国際移動」

10月10日・11日に立命館大学で行われる国際シンポジウム「環太平洋地域における日本人の国際移動」で報告します。2006年度から立命館大学を中心にした日本人の国際移動研究会で行ってきた共同研究の集大成です。私が参加するセッションでは、満州、上海、ハワイ、LAといった各移住先での日本人の適応過程を議論します。アメリカをはじめとする移民研究の枠組では見えてこない移住現象の多様性などが浮き彫りになるセッションにだと思います。また、各地での日本人の他の民族集団との相互作用も、それぞれの報告で取り上げられる予定です。興味のある方はぜひご参加ください。

詳細は以下をご覧下さい。どうやら事前申し込みが必要なようです。

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国際シンポジウムのご案内

このたび、日本人の国際移動研究会では、立命館大学国際言語文化研究所との共催にて、以下の国際シンポジウムを催すことになりました。(使用言語は日本語です。)

「環太平洋地域における日本人の国際移動」
 日時:2009年10月10日(土)13時~18時
    2009年10月11日(日)10時~17時
 会場:立命館大学衣笠キャンパス創思館1Fカンファレンスルーム

つきましては、シンポジウムに関心のある研究者・大学院生のみなさまにぜひ参加をお願いしたいとおもいます。なお、誠に申し訳ありませんが、会場の関係で、事前申し込み制とさせて頂いております。ご参加いただける方は、以下のアドレスに、ご所属・専門分野を簡単に書いたメールをいただければ幸いです。
2009@americanstudies.org

セッションごとの要旨などにつきましては、下記のURLをご確認ください。(ポスターおよびチラシのPDFファイルを閲覧/ダウンロードできます。)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/lcs_index.htm

どうぞよろしくお願いいたします。

日本人の国際移動研究会・立命館大学国際言語文化研究所 一同

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セッションごとのパネリストおよび報告タイトル

☆セッション1 基調報告 
10月10日(土)13:00 ~ 13:50
基調報告
 米山 裕   立命館大学
 日本人の国際移動と太平洋世界の形成

☆セッション2 太平洋世界の多様性・多元性と日本人の国際移動
10月10日(土)14:00 ~ 18:00
司会
 米山裕   立命館大学
報 告
 清水さゆり   ミシガン州立大学
  パシフィック・ヒストリーにむけて:
   アメリカにおける 研究動向
 坂口満宏   京都女子大学
  誰が移民を送り出したのか
 河原典史   立命館大学
  太平洋をめぐるニシンと日本人:
  第二次世界大戦前のカナダ西岸における塩ニシン製造業
 酒井一臣   大阪大学(研究員)
「文明国標準」の南洋観

コメント
 和田光弘   名古屋大学

☆セッション3 GISを活用した東洋拓殖移民への空間論的接近
10月11日(日)10:00 ~ 12:10
司 会
 河原典史   立命館大学
報 告
 飯塚隆藤   立命館大学(研究員)
  GISからみた東洋拓殖移民の地域的展開:
   高知県仁淀川流域を事例に
 轟 博志   立命館アジア太平洋大学
  東洋拓殖による農業入植地の立地特性
 佐藤 量   大阪市立大学(研究員)
  東拓移民の帰国をめぐる同窓会の役割:
   禾湖里尋常小学校同窓会を事例に
コメント
 木村健二   下関市立大学

☆セッション4 移住先地域から見た環太平洋日本人世界
10月11日(日)13:30~17:00
司 会
 和泉真澄   同志社大学
報 告
 山崎有恒   立命館大学
  植民地空間満州における日本人と他民族
 藤田拓之   同志社大学(非常勤講師)
  上海租界の日本人居留民:租界行政との関係を中心に
 物部ひろみ   同志社大学
  戦間期ハワイにおける多民族性と日系人の「位置」
 南川文里   神戸市外国語大学
  多人種都市ロサンゼルスにおけと環太平洋の想像力:
   リトル・トーキョー/ブロンズヴィルの経験から
コメント
 貴堂嘉之   一橋大学

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2009-08-19

日本アメリカ史学会大会

9月19日・20日に名古屋大学で開かれる日本アメリカ史学会第6回(通算34回)大会のシンポジウムで報告します。テーマは、「市民の境界」、移民や先住民の視点から「アメリカ市民」というのが歴史的にいかなる意味を持ってきたのかを考えるものになりそうです。報告者としてアメリカ先住民研究の中野(水野)由美子さんが、コメンテイターとして移民史研究の山本明代さんが参加されます。比較的「定番」となったテーマですが、単に統合とか排除とか国民化という理解からは見えてこないような、「市民」なるものの複雑で柔軟な側面に光を当てられたらなあと思います。

具体的には以下のとおりです。2日目午前の一番手なので、オーディエンスが少ないかも・・・。

9月20日(日)
10時〜12時30分
シンポジウムA
「市民の境界--移民と先住民をめぐる排除/包摂」

【司会】
 内田綾子(名古屋大学)

【報告】
 南川文里(神戸市外国語大学)
「シヴィック・ネーションの拡張性を見透かす
 --1920年代の日系移民による『排除/包摂』の経験」

 中野(水野)由美子(名古屋大学)
「法的地位としての<市民>と先住民
 --世紀転換期の土地・資源をめぐるポリティクス」

【コメント】
 山本明代(名古屋市立大学)

詳しくは、アメリカ史学会HPをご参照下さい。

2009-07-24

国際シンポジウムのご案内

現在関わっている、日本人の国際移動研究会で8月に国際シンポジウムを行います。

以下、シンポの案内文です。
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国際シンポジウム「紀元2600年奉祝行事と在外“日本人”」
 日時:2009年8月11日(火)13時~18時
 会場:キャンパスプラザ京都2F第2会議室

 報告者
 東 栄一郎(ペンシルバニア大学)
 「紀元2600年奉祝行事と在米日本人」
 藤岡 由佳(キャスター)
 「サンフランシスコの一世と米国政府の日系人政策」
 清水 さゆり(ミシガン州立大学)
 「紀元2600 年奉祝スポーツ大会と日系アメリカ人の身体動員」

 司会 
 米山 裕(立命館大学)

 コメンテーター
 坂口 満宏(京都女子大学)

詳しくは、
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/lcs_index.htm
まで。


2009-06-12

bloggerへの移行

これまでiWebのブログ機能を使っていたのですが、いまひとつ使い勝手が悪く、またブラウザによってはうまく表示できないことがあったので、bloggerのサービスにブログ部分のみ移行することにしました。移行したからといって、更新が急に活発になったりはしないと思いますが、お知らせなどがある場合にはこちらに掲載しますので、今後ともよろしくお願いいたします。

2009-06-05

関東社会学会

6月20日・21日にお茶の水女子大学で開催される関東社会学会のテーマ部会で報告します。テーマは、「『生きられる歴史』への社会学的接近」で、私の他には、静岡大学の金子淳さん、東京大学の内田隆三さんが報告されます。拙著では、「歴史社会学」を名乗っていましたが、「歴史と社会学」をめぐる方法論的な議論は、学会などで発表したことはなかったので、ちょっと緊張しています。

ちなみに私の報告は、「日系アメリカ人の歴史」における世代という概念の位置づけを検討したいと思っています。拙著で、世代論の批判を行ったので、「世代論批判の人」というふうに理解されることも増えてきたのですが、今回は、むしろ、なぜ「世代」なのか、日系人のエスニシティを語る際に「世代」が参照されるのはなぜか、という部分を考えてみたいと思います。ちなみにプログラムによると・・・

14:30~17:30 テーマ部会(第2日目午後)

テーマ部会B 「『生きられる歴史』への社会学的接近」 〔共通講義棟2号館102室〕

司会者:大出 春江(大妻女子大学)・菊池 哲彦(尚絅学院大学)

討論者:桜井 厚(立教大学)・野上 元(筑波大学)

報告:

  1.エスニシティに織り込まれる「歴史」――アメリカ日系人における「世代」の言葉  南川 文里(神戸市外国語大学)

  2.多摩ニュータウンにおける経験の多層性[PP]   金子 淳(静岡大学)

  3.歴史のなかの生きられた経験――まなざしの勾配、語りの曲率を通して  内田 隆三(東京大学)


・・・ということになっております。詳しくは、

http://wwwsoc.nii.ac.jp/kss/congress/57/program.html

まで。

2009-04-23

論文「リトルトーキョーの再建?」

『アメリカ研究』第43号に論文「リトルトーキョーの再建?:再定住期におけるコミュニティと人種間協調主義」が掲載されました。拙著『「日系アメリカ人」の歴史社会学』のなかではあまり詳細に議論することができなかった戦時強制収容からロスアンジェルス地域社会への「再定住」過程を、歴史的史料の分析にそくして検討しました。ポイントは、戦時中に「旧リトルトーキョー」地区に住み込んだ黒人住民と、いかなる関係が結ばれ、それが日系人の「コミュニティ感覚」にどのように作用したのか、という問題です。この関係を考察すると、戦後アメリカの人種をめぐるイデオロギーの変化と、それが個別の地域社会に文脈化される過程(と、その問題)が見えてきます。今後は、この論文の射程をもう少し広げて、多人種・多民族で構成されるコミュニティのあり方を、理論と歴史的実証の双方から考えてみたいです。

久々のレフェリー付き学会誌への投稿論文で緊張しましたが、無事掲載できてよかったです。適切かつ鋭いコメントいただいた査読者・編集委員の方々に感謝です。やはり、査読の過程を経ると、論文の問題設定や論旨がキリッと締まる感じがしていいですね。最近は、査読の側にまわることも増えてきましたが、著者と一緒に「いい論文」を作り上げていくような査読を目指したいですね。